視覚障害者と対面朗読者の対話分析と,ウェブのUA及びATの研究

渡辺隆行,西本,小田,小川,表,村岡

 

2005年12月27日 特定領域「情報福祉の基礎」平成17年度第2回成果報告会
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今日のメニュー

I. 視覚障害者の聴覚認知の解明と音声対話への利用
Kiki:「聞き」手に優しく「聞き」上手な「機器」
II. 「視覚障害者と対面朗読者の対話分析と,ウェブのUser Agent及びAuthoring toolの研究」
渡辺隆行,西本卓也,小田浩一,小川佳菜子,表あい,村岡雅子
  • IIa:日本の視覚障害者用UAの機能調査(一部は表卒論)
  • IIb:ATのアクセシビリティ機能(村岡卒論)
  • IIc:視覚障害者と対面朗読者の対話分析(小川卒論)
III. 「音声・テンキーを用いた新しいリモコンによる視覚障害者用家電操作の評価」
安村通晃,吉田諒,吉田恵

IIab. ウェブのUA及びATの研究

 

 

IIa. 日本の視覚障害者用UAの機能調査

UA調査の必要性

UA(音声ウェブブラウザ,スクリーンリーダ)の機能がわからないと,コンテンツ作成時に作者が配慮できない

例:画像の代替情報
  • alt属性:画像の代わりに表示されるテキスト
  • title属性:要素についての情報
  • longdesc属性:画像についての説明を記述したドキュメントのURL
例:アクセスキー,abbr要素,accronym要素,テーブル構造を示す要素や属性
  • 便利.でもUAで利用できるか?

UA調査の対象と方法

調査対象:メジャーまたは高機能なUA
  • IBM HPR 3.02及び3.04
  • PC-Talker XP 1.14
  • 95Reader 6.0 (XPReader)
  • Jaws for Win Pro. 6.2
調査方法

UA調査の結果

詳細は,日本の視覚障害者用ウェブ利用ソフトの機能調査 報告書

続 UA調査の結果

 

 

IIb. ATのアクセシビリティ機能

ATアクセシ機能調査

ATAG適合性調査結果

 
Dreamweaver
HPB
優先度1
4 / 4
4 / 4
優先度2
7 / 10
3 / 10
優先度3
6 / 10
4 / 10

Dreamweaverはほとんどのチェックポイントに適合.ATAG 2.0 WDが求めるアクセシビリティ機能を十分に持っている.

優先度1においては、Dreamweaverとホームページ・ビルダーともに満点だった。優先度1のチェックポイントはどのオーサリングツールも満たして当然といえるポイントが挙げられている。

DWユーザ インタビュー手順

事前に設定したユーザタイプ

インタビューは録音,書き起こし,KJ法で分析.タイプ分けはHTMLテストファイル修正の成績で判別.

aDesigner

DWインタビュー結果

タイプ1
タイプ2
タイプ3
サイトレポート機能
使う
使わない
バリデータ機能
使う
使わない
aDesigner
知っている
知らない
aDesigner使用経験
ある
ない
DWとaDesingerどちらが分かりやすいか
aDesinger
DWとaDesignerどちらが有効か
aDesigner
  • アクセシビリティを実践しているユーザほどDWのアクセシ支援機能を使いこなしている:
    • タイプ1はタイプ2に比べ,アクセシ機能を使っているユーザがやや多い.
    • タイプ3は,タイプ1とタイプ2よりも明らかにこれらの機能を使っていない.
  • aDesignerのような視覚的指摘方法は,アクセシビリティ向上に有効:
    • aDesignerは,全タイプで「分かりやすい」と評価された.
    • aDesignerは,全タイプで「アクセシビリティ向上に有効」と答えるユーザが多かった.

 

 

IIc. 視覚障害者と対面朗読者の対話分析

音訳マニュアルで得た4ポイント

『初めての音訳』(全国視覚障害者情報提供施設協会、2003)

1) 目で見ると明らかだが音では伝わらない情報の伝え方
例:図表,活字符号,同音異義語,数式
2) 補助情報の伝え方
例:ルビ,文注,誤植,
3) 聞き取りやすさ
例:はっきり読む,単語や音の高さを意識
4) 正確さ
例:単語の修飾関係がわかるように読む,アクセント,読み方

対面朗読予備実験で得た4重要点

1. 目的に誘導する工夫(ナビゲーション、ブラウジング、読み飛ばし、絞り込み)
例:焼き肉系がいいかなとか、あっさりが良いかなとか、・・・によるのではないですか?
2. 双方向性(対話、うなずきなど、確認,聞き返し)
例:今申し上げたのでイメージできますか?
3. 音声化の工夫(音訳マニュアルと同じ)
例:御膳・・・2000円で二重、お重、あの二重三重ってありますでしょ、何重、そのお重になっていて、
4. 記憶補助,記憶負荷軽減
利用者側の発話例:カシミールカレーはいくらでしたっけ?

対面朗読の本実験

重要点1:目的とする情報に早く誘導する工夫

# 対面朗読者 利用者
247 全部一応お聞きになりますか?  

253 法事(メニュー)は飛ばしますか?  
254   はい

重要点2:双方向性

# 対面朗読者 利用者
298 1. スペシャルミックス,見た目はね...  
299   (それの)名前だけ(知りたい)
300 名前だけ言いますね  

重要点4:記憶補助,記憶負荷軽減

# 対面朗読者 利用者
320 10. 五目ご飯デラックス  
321   うん
 
489   また話が飛んで申し訳ないのですが,スタンダード2の終わりの方に,五目なんとかってのが確か,五目ご飯
490 デラックス,はい.  

対話への意図タグ付与

意図タグ:話者の発話の意図を表すタグ
  • 発話意図を理解し,話者の要望を把握
  • 発話を分類,パターン化
談話行為(第1レイヤー):話者の発話内行為
  • 依頼:ある動作を依頼
  • 示唆:ある行為を示唆
  • 提案:ある行為を相手に提案
  • 陳述:行為を述べる

 

動作(第2レイヤー):発話による行為
  • 確認:相手にある対象を確認
  • 提示:ある情報(対象)を相手に提示
  • 検索:対象物を検索
  • 選択:いくつかの対象物からある対象物を選択

意図タグの組み合わせ

意図タグ組み合わせのパターン:依頼&(提示,検索,選択),提案&(選択),示唆&(検索),陳述&(確認,提示,選択)

意図タグ分析からわかったこと

視覚障害者の談話行為は69%が「依頼」と「示唆」

# 対面朗読者 利用者 談話 動作
167   名前からは内容がわからない 示唆 検索

利用者の談話行為

談話行為「陳述」において「確認」や「選択」の動作の意図タグが見られた

# 対面朗読者 利用者 談話 動作
244   これでオードブルまで終了ですか? 陳述 確認

対面朗読者の発話

対面朗読者の発話は約96%が「陳述」.質問、要望に答える場面が多い.

# 対面朗読者 利用者 談話 動作
481   ロースカツカレーはいくらですか? 依頼 提示
482 こちらは300円   陳述 提示

対面朗読者の発話

迷っているときにアシスト,「依頼」や「提案」談話行為も見られた.

# 対面朗読者 利用者 談話 動作
603 それを捨てますか? どれを浮上させますか?   依頼 選択

対面朗読者の発話

おおざっぱな系統や印象,違いを説明している.

# 対面朗読者 利用者 談話 動作
13 とりあえず全体に申し上げますと系統から言って  
14   そうですね.そこからお願いします.
15 和食系ですね.   陳述 提示

 

 

前回成果報告会以外の研究発表

まとめ