今日のメニュー
- I. 視覚障害者の聴覚認知の解明と音声対話への利用
- Kiki:「聞き」手に優しく「聞き」上手な「機器」
- II. 「視覚障害者と対面朗読者の対話分析と,ウェブのUser Agent及びAuthoring toolの研究」
- 渡辺隆行,西本卓也,小田浩一,小川佳菜子,表あい,村岡雅子
- IIa:日本の視覚障害者用UAの機能調査(一部は表卒論)
- IIb:ATのアクセシビリティ機能(村岡卒論)
- IIc:視覚障害者と対面朗読者の対話分析(小川卒論)
- III. 「音声・テンキーを用いた新しいリモコンによる視覚障害者用家電操作の評価」
- 安村通晃,吉田諒,吉田恵
IIab. ウェブのUA及びATの研究
- ウェブはますます利用される:電子政府,家電IF,アプリIF
- ウェブ・アクセシビリティ:さまざまな要素
「ウェブ・アクセシビリティ向上の要件」
- 視覚障害者の聴覚認知を調べる重要性同様に,ウェブアクセシ向上の基本部品を調べることも重要.
- ウェブコンテンツのアクセシビリティ以外も重要:
- User Agentの機能が不足していると,作者が正しいウェブを作っても利用できない.基礎調査をして,問題点を見極めたい.
- アクセシブルなコンテンツを作成するには,Authoring toolが重要.ATは必要な機能を持っているか? ユーザはその機能を使っているか?
UA調査の必要性
UA(音声ウェブブラウザ,スクリーンリーダ)の機能がわからないと,コンテンツ作成時に作者が配慮できない
- 例:画像の代替情報
-
- alt属性:画像の代わりに表示されるテキスト
- title属性:要素についての情報
- longdesc属性:画像についての説明を記述したドキュメントのURL
- 例:アクセスキー,abbr要素,accronym要素,テーブル構造を示す要素や属性
-
UA調査の対象と方法
- 調査対象:メジャーまたは高機能なUA
-
- IBM HPR 3.02及び3.04
- PC-Talker XP 1.14
- 95Reader 6.0 (XPReader)
- Jaws for Win Pro. 6.2
- 調査方法
-
UA調査の結果
詳細は,日本の視覚障害者用ウェブ利用ソフトの機能調査 報告書
- UAAG Test Suites
- 全UA未対応のUAAG 1.0優先度1のCP:marquee無効,一部のイベントハンドラ,マルチメディア関連
- HPR 3.04とJaws 6.2は,重要な機能を装備:ページ内検索,ページ内リンク,任意部分の読み上げ,など
- HPRやJawsは,MSAA以外に,DOMやCOMを利用,OSをハック.
- Windows OSやIEの機能向上が大事.
続 UA調査の結果
- PDF,Flash
- PDF:どのUAでも見出し要素の活用ができない.PDFはまだ利用しにくい.
- Flash:正しく作成されていればそれなりに読む.
- HPR:3.04から両者に対応したが,まだ不十分.
- 日本語
- UAによって記号の読み方が異なる.
- ol要素の番号,abbr,accronym:JawsとHPR 3.04のみ読む.
- 言語切替は全UAが未対応.日時金額の表記などは漢字を使う必要有り.
IIb. ATのアクセシビリティ機能
- 調査目的,調査対象,調査方法
- DreamweaverとHPBの適合性調査結果
- Dreamweaverユーザはアクセシ機能を使っているか
ATアクセシ機能調査
- AT(ウェブサイト作成ソフト)が賢ければアクセシブルなウェブサイトを誰でも作成できる.
- メジャーなATはアクセシブルなサイト構築機能を持っているか?
- ユーザはそれを利用しているか?
- どのようなアクセシ支援機能が利用されるのか?
- 調査対象:Dreamweaver MX 2004,ホームページ・ビルダー V9
- 調査方法1:W3C ATAG 2.0 WD 適合性テスト
- 調査方法2:Dreamweaverユーザ17名のインタビュー
ATAG適合性調査結果
|
Dreamweaver |
HPB |
優先度1 |
4 / 4 |
4 / 4 |
優先度2 |
7 / 10 |
3 / 10 |
優先度3 |
6 / 10 |
4 / 10 |
Dreamweaverはほとんどのチェックポイントに適合.ATAG 2.0 WDが求めるアクセシビリティ機能を十分に持っている.
優先度1においては、Dreamweaverとホームページ・ビルダーともに満点だった。優先度1のチェックポイントはどのオーサリングツールも満たして当然といえるポイントが挙げられている。
DWユーザ インタビュー手順
事前に設定したユーザタイプ
- タイプ1:ウェブアクセシビリティの知識を持っていてかつ実際にアクセシブルなウェブサイトを作っているユーザ
- タイプ2:ウェブアクセシビリティの知識を持っているがそれほど詳しくなく、実際にはアクセシブルなウェブサイトを作っていないユーザ
- タイプ3:ウェブアクセシビリティの知識を持っていないユーザ
インタビューは録音,書き起こし,KJ法で分析.タイプ分けはHTMLテストファイル修正の成績で判別.
aDesigner
- aDesigner:IBMが公開しているアクセシビリティチェックツール.
- 文法チェック的にアクセシ問題を表示するツールと対照的な手法で問題点を指摘
- ページ先頭からの到達時間が長いほど暗く表示.見出し要素でマークアップされていれば明るく表示.
- 視覚障害者のウェブ利用体験を視覚的にシミュレートするので,(X)HTMLやCSSをよく知らない初心者にも分かりやすい.
DWインタビュー結果
|
タイプ1 |
タイプ2 |
タイプ3 |
サイトレポート機能 |
使う |
使わない |
| バリデータ機能 |
使う |
使わない |
aDesigner |
知っている |
知らない |
aDesigner使用経験 |
ある |
ない |
DWとaDesingerどちらが分かりやすいか |
aDesinger |
DWとaDesignerどちらが有効か |
aDesigner |
- アクセシビリティを実践しているユーザほどDWのアクセシ支援機能を使いこなしている:
- タイプ1はタイプ2に比べ,アクセシ機能を使っているユーザがやや多い.
- タイプ3は,タイプ1とタイプ2よりも明らかにこれらの機能を使っていない.
- aDesignerのような視覚的指摘方法は,アクセシビリティ向上に有効:
- aDesignerは,全タイプで「分かりやすい」と評価された.
- aDesignerは,全タイプで「アクセシビリティ向上に有効」と答えるユーザが多かった.
IIc. 視覚障害者と対面朗読者の対話分析
- 対面朗読者(プロ)と視覚障害者の対話から,音声対話システムに必要な要件を探る.
- 『音訳マニュアル』の調査.
- 予備実験で明らかになった4重要点
- タスク:ケータリングメニューで昼食を注文
- 意図タグ付与による対話分析
- プロトタイプシステムへの提案
音訳マニュアルで得た4ポイント
『初めての音訳』(全国視覚障害者情報提供施設協会、2003)
- 1) 目で見ると明らかだが音では伝わらない情報の伝え方
- 例:図表,活字符号,同音異義語,数式
- 2) 補助情報の伝え方
- 例:ルビ,文注,誤植,
- 3) 聞き取りやすさ
- 例:はっきり読む,単語や音の高さを意識
- 4) 正確さ
- 例:単語の修飾関係がわかるように読む,アクセント,読み方
対面朗読予備実験で得た4重要点
- 1. 目的に誘導する工夫(ナビゲーション、ブラウジング、読み飛ばし、絞り込み)
- 例:焼き肉系がいいかなとか、あっさりが良いかなとか、・・・によるのではないですか?
- 2. 双方向性(対話、うなずきなど、確認,聞き返し)
- 例:今申し上げたのでイメージできますか?
- 3. 音声化の工夫(音訳マニュアルと同じ)
- 例:御膳・・・2000円で二重、お重、あの二重三重ってありますでしょ、何重、そのお重になっていて、
- 4. 記憶補助,記憶負荷軽減
- 利用者側の発話例:カシミールカレーはいくらでしたっけ?
対面朗読の本実験
- 被験者:対面朗読者1名、視覚障害者1名
- 課題:ケータリングサービスのメニューで昼食を決めて注文
- 方法:
- ビデオ録画.
- 両者の声を別チャンネルで録音.
- モーションセンサーで頭の動きを取る.
- 対話を書き起こす.
- 意図タグを付与して分析.
重要点1:目的とする情報に早く誘導する工夫
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
| 247 |
全部一応お聞きになりますか? |
|
| 253 |
法事(メニュー)は飛ばしますか? |
|
| 254 |
|
はい |
重要点2:双方向性
- 今回の視覚障害者には,うなずきがほとんどない.
- 相づちは盛ん.
- 割り込みがある.(下記例)
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
| 298 |
1. スペシャルミックス,見た目はね... |
|
| 299 |
|
(それの)名前だけ(知りたい) |
| 300 |
名前だけ言いますね |
|
重要点4:記憶補助,記憶負荷軽減
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
| 320 |
10. 五目ご飯デラックス |
|
| 321 |
|
うん |
| |
| 489 |
|
また話が飛んで申し訳ないのですが,スタンダード2の終わりの方に,五目なんとかってのが確か,五目ご飯 |
| 490 |
デラックス,はい. |
|
対話への意図タグ付与
- 意図タグ:話者の発話の意図を表すタグ
-
- 発話意図を理解し,話者の要望を把握
- 発話を分類,パターン化
- 談話行為(第1レイヤー):話者の発話内行為
-
- 依頼:ある動作を依頼
- 示唆:ある行為を示唆
- 提案:ある行為を相手に提案
- 陳述:行為を述べる
- 動作(第2レイヤー):発話による行為
-
- 確認:相手にある対象を確認
- 提示:ある情報(対象)を相手に提示
- 検索:対象物を検索
- 選択:いくつかの対象物からある対象物を選択
意図タグの組み合わせ
意図タグ組み合わせのパターン:依頼&(提示,検索,選択),提案&(選択),示唆&(検索),陳述&(確認,提示,選択)
意図タグ分析からわかったこと
視覚障害者の談話行為は69%が「依頼」と「示唆」
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
談話 |
動作 |
| 167 |
|
名前からは内容がわからない |
示唆 |
検索 |
- メニューを大・中・小の分類に分け、ラベリング
- ラベリングは内容が想像しやすいようにする
利用者の談話行為
談話行為「陳述」において「確認」や「選択」の動作の意図タグが見られた
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
談話 |
動作 |
| 244 |
|
これでオードブルまで終了ですか? |
陳述 |
確認 |
- 大・中・小の分類のどの部分にいて、どの部分は終わったのか確認できる
対面朗読者の発話
対面朗読者の発話は約96%が「陳述」.質問、要望に答える場面が多い.
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
談話 |
動作 |
| 481 |
|
ロースカツカレーはいくらですか? |
依頼 |
提示 |
| 482 |
こちらは300円 |
|
陳述 |
提示 |
- 大・中・小分類において必要な情報をそろえる
- 検索機能
対面朗読者の発話
迷っているときにアシスト,「依頼」や「提案」談話行為も見られた.
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
談話 |
動作 |
| 603 |
それを捨てますか? どれを浮上させますか? |
|
依頼 |
選択 |
- 興味を示したメニューを候補に残し,制約条件として利用
- システム側からヒントや情報を与える.候補に残すカテゴリやメニューを質問.
対面朗読者の発話
おおざっぱな系統や印象,違いを説明している.
| # |
対面朗読者 |
利用者 |
談話 |
動作 |
| 13 |
とりあえず全体に申し上げますと系統から言って |
|
|
|
| 14 |
|
そうですね.そこからお願いします. |
|
|
| 15 |
和食系ですね. |
|
陳述 |
提示 |
- 理解したか確認し,必要なら再度説明.
- 情報を伝える際は音訳マニュアルの注意点に配慮.
まとめ
- 日本の視覚障害者用AUの機能調査
- ATのアクセシビリティ機能
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