Webアクセシビリティ概論
この本の「1章:Webアクセシビリティを理解する」を使ってお話しする。
- 1章の著者:Shawn Henry
- ユーザビリティの専門家.「UI Access」
- W3C WAI Education and Outreach Working Group (EOWG)
ユーザビリティを含む広い意味での「Webアクセシビリティ」に関して、具体例を交えてまとめている。Webアクセシビリティ(a11y)に関わるすべての人に読んで欲しい。
学習目標
- I. 気づき、理解(正しい理解)、スキル
- II. ユーザ中心:ユーザ参加、ユーザの立場に立って考える
- III. ガイドラインやテストツールだけに頼らない
- IV. Web a11y の構成要素(技術面、人間面)を総合的に考える
- V. Web a11y の伝道者になる
- Web a11y :
- 障害者がWebを知覚、理解、ナビゲーション、インターラクションできる
- 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、発話障害、認知障害、脳機能障害
- 高齢者,一時的な障害、状況による障害
- ユーザビリティも向上,技術面や財政面でのメリットもある
- 1-1. Web a11y の例:代替テキスト
- 1-2. Web a11y の他の例
- オーディオ・キャプション
- デバイス非依存(キーボードだけでも操作できる)
- 明確で一貫したデザインとナビゲーション
- Webがあらゆる場面(含 公的サービス)で利用されている
- Webなら障害者もアクセスしやすいようにできる
- 企業の社会的責任(CSR)である
a11y に対応したWebにすることで人々の暮らしが改善し、全体として社会に利益をもたらす
- 高齢者(日本!)
- 読み書きが不得手な人、その言語に堪能でない人
- ネットワークが遅い人
- Webの初心者
- 明確で一貫したデザイン、ナビゲーション、リンク
- サーバーサイド・イメージマップにテキストリンク追加
- 新しくブラウザを開く際の事前情報

図 1-8. Web a11y の構成要素 (©W3C)
Web a11y の基本構成要素
- 技術的な構成要素
- Webコンテンツ(文字、画像、フォーム、音、コード、マークアップ)
- 技術仕様(XHTML、CSS、SVG)
- オーサリングツール(Dreamweaver、ホームページ・ビルダー、MS Word、CMS、Blog、Wikiなど)
- 評価(テスト)ツール
- ユーザエージェント(ブラウザ、メディアプレーヤ、支援技術)
- 支援技術(ソフト、ハード)
- 人間面の構成要素
- ツール開発者(ユーザエージェント、支援技術、オーサリングツール、評価ツールの開発者)
- ユーザー
- コンテンツ制作者(制作、運営、ブログにコメントする人)
基本構成要素:代替テキストの例
技術面の例
- 技術仕様:alt属性(img要素とarea要素)
- オーサリングツール:代替テキストの挿入を容易にし、促す
- 評価ツール:代替テキストの有無をチェックし、適切性の判断を助ける
- ユーザーエージェント:人間と機械(ブラウザや支援技術)が代替テキストを利用できるようにする
- 支援技術:たとえば、視覚障害者には音声や点字で代替テキストを提示
基本構成要素:代替テキストの例
人間面の例
- コンテンツ制作者:適切な代替テキストを提供する
- ユーザー:自分が利用しているユーザーエージェントで代替テキストを取得する方法を知っておく
- ツールの開発者:代替テキストを付与、評価、表示する機能をツールに提供する
4-2. 卵が先か鶏が先か
基本構成要素が相互依存しているので、どの要素がまず a11y 機能を実装すべきかと言う「卵が先か鶏が先か」問題が存在している。

図1-10 a11y 実装サイクル
4-3. 弱い部分を補償する
われわれの研究によると,日本は弱い部分が多い。
支援技術(スクリーンリーダー)にてこ入れする必要がある!
4-4. 構成要素とW3C/WAIのガイドライン

図1-12 各構成要素をカバーするWAIの a11y ガイドライン
日本にはコンテンツのガイドラインしかない!
- 5-1 サイト開発プロセスの最初から a11y に取り組む
- 手間とコストが減る
- 5-2 問題を理解するところからはじめる
- ガイドラインに飛びつく前に,評価ツールの結果を分析する前に,まず問題点を理解しなさい.障害者がWebを使う様子の基本的なところを勉強しなさい.
- 5-3 障害者を製作プロジェクトに加える
- 問題点を理解する最もよい方法は,障害者と一緒に作業して,彼らがどのようにWebを利用しているか,どのような問題が生じているかを学ぶことである.
- 5-4 a11y とユーザビリティの関係を理解する
- 次ページ
- 5-5 ガイドラインの重要な役割を理解する
- 障害者から学ぶ,ガイドラインを教科書的に使う,障害者で確認.
- 5-6 既存サイトの a11y 問題
- 次ページ
5-4 a11y とユーザビリティの関係を理解する
UCD(ユーザ中心設計)から多くを学べる.
- ユーザビリティ:「ある製品が、指定された利用者によって、指定された利用の状況下で、指定された目標を達成するために用いられる際の有効さ、効率及び満足度の度合い」(ISO 9241-11,JIS Z 8521)
- a11y :「指定された利用者」=障害者を含む,「指定された利用状況」=支援技術を含む幅広い利用状況
- ユーザビリティの問題は、能力(障害のあるなし)に関わらず、全てのユーザーに同じ影響を与える。
- 障害者が、障害を持たない人と比べて不利ならば、それは a11y 問題である。
両者の区別は,高齢者や認知障害者においてオーバーラップしてくる.
5-6 既存サイトの a11y 改善
- 優先順位をつける
- 多くのページに影響するテンプレートなど
- サイトのトップページなど利用度が多いページ
- 障害者に与える影響が大きく,改善に要する労力が少ない箇所
- 6-1. 文字だけにすればよいという思い込み
- 6-2. a11y に対応したサイトは冴えなくてつまらないという思い込み
- 6-3. a11y に対応するのは大変でお金がかかるという思い込み
- 6-4. Web制作者だけが a11y に責任があるという思い込み
- 6-5. 全盲の視覚障害者だけが a11y の対象であるという思い込み
- 6-6. 評価ツールを使えば a11y を判断できて標準に適合しているかどうかもわかるという思い込み
違う!
- 7-1. 技術面の利点
- サイト制作と管理の時間短縮
- サーバーの負荷軽減
- 相互運用性の向上
- 先端技術への準備
- 7-2. 経済的な利点
- 検索エンジンへの最適化
- Webサイトの利用増
- 直接的な経費削減
- 7-3. Web a11y のビジネスケース
- a11y 対応:啓蒙的な自己利益(an act of enlightened self-interest)
a11y 対応は、他人のためだけではない。
- 誰もがいつか障害を持つ可能性がある。
- 公平性、基本的な権利の確保が重要
- a11y 対応の重要性に気付けば、対応しようとするだろう。
- では、どうやって a11y を確保するのか、そこの勉強が大事。
- 価値ある挑戦として a11y に取り組もう。優秀な人材の投入!
a11y の伝道者になろう!