3年次演習の紹介
2011年11月22日 20:48
渡辺隆行
目次
改定履歴
- 2011年11月22日:
- 2011年度2年生の3年次演習選択の参考になる資料の作成開始.(ほとんど昨年度のママ.追って修正します)
3年次演習の紹介
11月24日の説明会用PPTの要旨
- 渡邉の紹介:
- 宇宙飛行士になりたい
- 物理学者になりたい
- 物理学者になったけれど...
- 情報通信技術を人類に役立てたい
- BEP(Bilingual Emacspeak Platform)の開発
- 東女コミュニケの情報教員として赴任
- ウェブアクセシビリティの仕事に取り組み始める
- JIS X 8341-3の改正が2010年8月に完成!
- ウェブアクセシビリティ基盤委員会を立ち上げ,関連省庁や企業と協力して日本のウェブアクセシビリティを推進
- 僕がやりたいこと
- 世の中の問題を見つけて解決
- 国際的な視野で活動
- 成果をオープンソースドメインで公開
- ウェブアクセシビリティを学問にする
- 卒論:
- 他人の視点に立って世の中の問題点・解決すべき点を見つけ,少しでもそれを解決することに挑戦して欲しい.(他人の役に立つ人間は仕事にあぶれることはない)
- 本人の興味を教員がふくらますことで卒論テーマを決めている.ウェブ,ユニバーサルデザイン,アクセシビリティ,音声(早口合成音声,音声対話など)等のテーマが多い.
- 今年度の卒論の紹介:....
3年次演習説明会で見せたPPTが欲しい方はメールをくだされば,個人宛にお送りします.
オープンゼミ(ゼミ見学)は:11月28日と12月5日の月曜4限(9304号室)
渡辺ゼミの内容
渡辺研究室は,「人間と情報通信システムのユニバーサルなコミュニケーション」を旗印に,情報通信機器(をはじめとする身の回りの物)・システム・サービスのユニバーサルデザイン(なるべく多くの人が使えるようにデザインすること)・ユーザビリティ(使いやすさ)・アクセシビリティ(高齢者や障害者なども利用できること)に関連するテーマ,特に「ウェブのユニバーサルデザインと音声コミュニケーション」の研究に取り組んでいます(図1参照).
図1. 人間と情報通信機器(ICT)の関わりの概念
情報通信技術(ICT)には,ウェブやコンピュータなど様々な物があります.それらを使う人間(ユーザ)も,障害者,高齢者,初心者,熟練者など様々です.アナログな人間とデジタルなICTの間には大きなギャップがあり,それをつなぐのがHCI (Human-Computer Interaction)です.障害者や高齢者に対してはアクセシビリティを考える必要があるし,高齢者や初心者に対してはユーザビリティを考える必要があります.また,人間同士のようにコンピュータと人間が音声でコミュニケーションできれば,初心者にも使いやすいに違いありません.
2008年度までの3年次演習は,前期にユニバーサルデザインを実習形式で学び,後期にウェブアクセシビリティを発表形式で学びました.2009年度は,ウェブのアクセシビリティガイドラインが改定されるタイミングを活かし,ウェブのアクセシビリティに焦点を置いて勉強しています.
なべゼミの3年生は,3年次演習と並行して,前期金5限(変更の可能性有り)の「CompIIE(Webでの情報表現)」も受講してください.CompIIEで学んだことを3,4年次演習でも使います.
3年次の夏休みには,4年生と合同のゼミ合宿を行います.ゼミ合宿は4年生の卒論発表が中心ですが,バーベキュー,スイカ割り,花火などの遊びも満載です.
ゼミ合宿の様子
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BBQ |
スイカ割り |
スイカ割りの成果 |
花火 |
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3年次演習が終わった後の春休み頃から卒論のテーマを考えます.4年次5月の連休前後に一日合宿をして,卒論の概要(取り上げるテーマ,その理由,関連研究,研究方法,キーとなる参考文献,卒論題目案)を固めます.4年次夏のゼミ合宿では,5月に発表した卒論概要を発展させる形で卒論の前半を完成させ,具体的な研究手法(実験?,調査?,??)を検討します.8月から10月にかけて必要な実験や調査をして,11月下旬には完成版の内部〆切です.
これ以外にも,毎月第3土曜日に東女で開催しているUAI研究会や,各種セミナー,大手IT企業デザイン部門のインターンシップ参加など,この分野の専門家と一緒に学ぶ機会も多くあります.
渡辺ゼミでは,ユニバーサルデザインやウェブや音声によるコミュニケーションに興味がある学生を歓迎します.また,これに限らず,世の中の問題を解決して人々の生活を向上させようという意欲を持っている学生,熱心で積極的な学生も歓迎です.:-)
Webが面白い!
僕がなぜこれほどWebに注目しているのか? それはWebは変身するメディアだからです.Webではすべてのデータがネットワークにつながったコンピュータの中にあります.そして,(X)HTMLなどのマークアップ言語によって,そのデータの意味(Semantics)がマークアップされています.画面を見ることができるユーザには見やすいフォントとサイズで表示し,音声で聞くユーザには見出しやリンクなどを音声でわかりやすく表示し,ロービジョンのユーザには画面を拡大したり文字色と背景色のコントラストを強調したり見やすい組み合わせに変え,携帯電話の小さな画面で見ているユーザには横幅を狭くしてレイアウトする,というようなことが,Webでは自由自在に行えるのです.
ユーザに合わせて変幻自在に姿を変える能力を持ったメディア,それがWebです.Webのこの能力を最大限に生かすことで,誰にでも使いやすく,高齢者や障害者やモバイルユーザにも使えるWebを実現できるのです.
卒論のテーマ
渡辺ゼミの過去の卒論を紹介します.
2005年度の卒論
- 高等教育におけるeラーニングの現状と今後の展開
- コミュニケーション学科の「情報通信ネットワーク1,2」は,シスコ・ネットワーキングアカデミーというeラーニングシステムを使っています.この卒論は,高等教育におけるeラーニングの国内外の現状を調べ,シスコ・ネットワーキングアカデミーの受講者の調査を元に,eラーニングの普及に必要な要素を調べました.
- 視覚障害者用早口合成音声の研究
- 耳で聞く方が目で読むより時間がかかるので,早口で音声合成してくれないとコンピュータの音声利用に時間がかかってしまいます.そこで渡辺研究室では,早口でも聞き取りやすい合成音声に関して科研費の共同プロジェクトを行っています.この卒論は,この共同研究の一部として,早口でも慣れれば聞き取れるようになるのかについて,被験者実験を元に調べました.
- コンピュータと視覚障害者の音声対話に向けて
- 今は,コンピュータの前に座ってキーボードを叩き,画面に表示される情報を目で読み取らなければコンピュータを利用できません.しかし,コンピュータと人間が音声対話できるようになれば,人間がコンピュータの前に座る必要はなくなります.そこで,渡辺研究室では,視覚障害者とコンピュータの音声対話に焦点を当てた共同研究を科研費で実施しています.この卒論は,対面朗読者(視覚障害者に本を読み上げるサービスなどをする専門家)と視覚障害者が,ケータリングメニューを元に食事を注文する際の対話を分析し,音声対話に必要な構造と要件を調べました.
- 日本におけるウェブ・ユーザエージェントの問題点
- 視覚障害者用のウェブ音声化ソフト(ユーザ・エージェント)の機能はまちまちです.しかし,ユーザ・エージェントの機能がそろっていないと,ウェブを作る側はどれに合わせればよいかわからないので困ってしまいます.そこで渡辺研究室では,「日本の視覚障害者用ユーザ・エージェントの機能調査」を,ウェブ・アクセシビリティの専門家たちと共同研究しました.この卒論はその一部で,視覚障害者の間でもっともよく使われているIBMのホームページ・リーダの機能を詳細に調べて,問題点と今後の方向性を提言しました.
- コミュニケーション学科ウェブサイトのユーザビリティ
- 学科サイト・リニューアルプロジェクトの続きを卒論にまとめた研究です.新旧学科サイトのユーザビリティ・テストを実施し,どこが改善されたかとか,どんな問題が残っているかを調査しました.この卒論の成果は,学科サイトの改善に活用されます.
- 音声によるわかりやすい情報伝達
- ラジオとテレビのスポーツ実況中継を競馬,サッカー,野球で比較し,画面が見えないラジオのアナウンサーがどのような工夫をしているかを調査した研究です.
- ウェブサイト作成ツールのアクセシビリティ機能
- 「ユニバーサル・ウェブ -誰もが使いやすいWebサイトの構築-」を読めばわかると思いますが,エディタを使って手でウェブページを作るのは労力がかかるだけでなく,標準仕様に沿わない間違ったウェブページを作ってしまいがちです.しかし,オーサリングツール(ウェブサイト作成ツール)の助けを借りれば,そのような問題はなくなります.また,オーサリングツールがアクセシビリティに優れたウェブページを作ってくれるなら,世の中のウェブページはアクセシビリティに配慮した物になるでしょう.この卒業研究は,オーサリングツールのアクセシビリティ(支援)機能を詳細に調べた後,さらに,オーサリングツールのユーザはその機能を使っているのか,使わない理由,どういう機能がわかりやすいか,について,インタビュー調査しました.詳細は,「オーサリングツールのアクセシビリティ機能の評価」(村岡,渡辺)参照.
2006年度の卒論
- 画像を音声でわかりやすく伝える工夫
- 視覚障害者,あるいは運転中や真っ暗闇にいる晴眼者に,どのような点に注意して画像を説明するのがわかりやすいのかを調べる研究.いろいろな写真を用意し,それにいろいろな説明を付け,各画像の説明毎に,こちらが用意した質問に答えてもらうことで,「わかりやすさ」を構成する要因を重回帰分析により調べた.
- ウェブサイト作成ツールのアクセシビリティ機能
- 昨年の卒論に続く研究.今年は,一般向けに普及しているオーサリングツール,IBMのホームページ・ビルダーに焦点を当て,総務省の「公共サイト運用モデル」に沿ったアクセシブルなWebサイトを構築する方法を検討し,IBMのホームページ・ビルダー開発グループに改善案を提案した.
- 視覚障害者用早口合成音声の研究
- 昨年の卒論に続く研究.今年は高齢者に焦点を当て,高齢者でも慣れは生じるのか,どの程度の早口まで聞き取れるのか,女子大生と差があるのか,などを調べた.高齢者13名に週1回4週連続大学に来てもらって実験した.
- ウェブのユーザ体験
- 楽しいウェブとはどういうウェブかに興味を持った研究.Flashや写真があるウェブとそうでないウェブで,ユーザビリティと利用者の楽しさの関連や,サイト毎の差とその要因を被験者による評価で調べ,Flashが楽しさに関連すること,しかしFlashを使ったサイトのユーザビリティは高くないことを明らかにした.
- ウェブの構造化
- 見出し要素などで正しく構造化したウェブは,晴眼者のユーザビリティや視覚障害者のアクセシビリティを向上させるかどうかを客観的に調べた研究.自分でテスト用のウェブサイトを用意して,いろいろな工夫を重ねながら実験.この卒論を発展させたものを渡辺が国際会議で発表し,最優秀論文賞をとりました.
- 情報機器と人間の音声対話(2名のグループ研究)
- 昨年の卒論に続く研究.視覚障害者と対面朗読者の対話を分析し,それを元にXHTML版のお弁当注文システムをPHPとPostgreSQLで作成し,視覚障害者による評価実験を行った.音声対話と比較したWebページ遷移システムの有利さや,候補や絞り込みなどの特徴の有効性が分かった.
- ウェブサイトのユーザビリティ
- 昨年度の卒論に続いて学科サイトのユーザビリティを調べ,改善案を出した.
- 地方自治体ウェブサイトの現状
- 自治体などの公共サイトはウェブコンテンツ・アクセシビリティガイドラインJIS X 8341-3に準拠している必要がある.本当に準拠しているのか,JISのどの部分が準拠していないのか,自治体の規模による差はあるかなどを,テストツールで比較した.
2007年度の卒論
代表的なものを紹介する.
- 映画の音声ガイド-初心者用ライブ音声ガイドマニュアルの制作と評価-
- 視覚障碍者は映画を見る際、映像が見えないことや字幕を読めないことが障碍となり、映画を心から楽しむことが出来ない。視覚障碍者が映画を楽しむために、登場人物の特徴や情景など目で見る情報を言葉で説明することを「音声ガイド」という。しかし、上映中の映画を解説するライブの音声ガイドは、初心者には敬遠され視覚障碍者の需要に対し、ガイド者の数が少ない。そこで、「ライブ音声ガイドのマニュアル」があれば、ライブ音声ガイドに挑戦しやすくなるのではないかと考え、「初心者のためのライブ音声ガイドマニュアル」を制作した。本研究の目的は、インタビューや実験を基に、「ライブ音声ガイドマニュアル」を作ること。さらに、そのマニュアルの有効性を客観的に確かめることである。
- JavaScriptを利用した動的なWebのアクセシビリティ-Googleのケーススタディ-
- 最近はやりのAjax(Google MapやGMailのような,アプリケーションのように使えるウェブサイト)のアクセシビリティに取り組んだ研究.Google DocumentとiGoogleに注目し,音声ブラウザを利用するユーザにとってどのような問題があるのかを調べ,重要なポイントを明らかにした.
- パワーポイントのカラーユニバーサルデザイン
- 色覚障害があるユーザにも使える「かわいい」パワーポイントのデザインを研究.
- ウェブのユーザ体験-映画モバイルサイトのユーザビリティと楽しさ-
- 昨年度に続く卒論.携帯用のサイトに注目し,ユーザビリティと楽しさの関係を明らかにした.
2008年度の卒論
2008年度は以下のテーマで取り組んでいます.
- 色弱者が感じるカラーユニバーサルデザイン
- 大学のWebサイトの前景色と背景色の組み合わせに注目
- 動的なWebのアクセシビリティ
- Ajaxを始めとする動的なWebサイトの実例を集め,WAI-ARIAがどのように適用できるかを検証
- 中学生とインターネット
- 中学生の生活をインターネットがどうenhanceできるかを検討
- 高齢者にとって使いやすいWeb
- 一枚のページに全情報が書いてあるサイトと,情報の構造に沿って複数のページに別れているサイトのどちらが使いやすいかを,高齢者22名と女子大学生22名対象に実験を行った.
- ウェブのユーザ体験
- 写真やイラストがWebの楽しさに及ぼす影響を調べた
- ウェブの構造
- レイアウトテーブルで情報を詰め込んだサイトと,div要素でブロックに区切り,関連する情報をリスト要素でマークアップしたサイトを視覚障害者を被験者にして比較
- 視覚障害用早口合成音声の研究
- 昨年度の卒論の続編.単語親密度との関係等を研究
- 有効な音声CAPTCHA
- 音声CAPTCHAの新しい手法の有効性などを研究
- わかりやすい音声ガイド
- どのような音声ガイドがわかりやすいかを研究
2009年度の卒論
- ライブイベントの情報保障 -初心者によるパソコン要約筆記-
- 聴覚障害者が授業やセミナーや会議に参加するとき,手話や要約筆記などによって,音声情報を保障する必要がある.この卒論は,社内会議のように,専門の手話通訳や要約筆記者を雇うことが出来ないような場面を想定して,同僚などがパソコンを使って要約筆記をする場面に注目した.その結果,会議で話される言葉を2倍に圧縮しないとパソコンに打ち込んで文字化できないことがわかった.
- 携帯電話用サイトのアクセシビリティとユーザビリティ
- 携帯電話用に制作された都道府県の携帯サイトのユーザビリティとアクセシビリティを調査
- スクリーンリーダを用いたWebアクセシビリティ評価 -NVDA操作ガイドの制作と,Web制作者によるアクセシビリティ評価実験-
- オープンソースで公開されているスクリーンリーダNVDA日本語版を用いてWeb制作者がJIS X 8341-3:2010に対応したサイトを制作できるかを調査.スクリーンリーダで評価可能と思われるJISの達成基準を取り上げ,本物のWeb製作者にNVDAを使ったアクセシビリティ評価を依頼した.卒論用に制作した「NVDA日本語版操作ガイド」はウェブで一般公開されている.力作の卒論です.
- 高等学校における情報教育 -普通教科「情報」の授業の現状-
- 学校や年度によって情報の授業で学習した内容が異なるかどうかを調べるために,本学科の1年生と3年生を対象にした質問紙調査を行った.
- ハザードマップのカラーユニバーサルデザイン
- 地震被害などを示すハザードマップが色覚障害者にも使えることが大事である.そこで,色覚障害者にも利用できて危険度もわかりやすいハザードマップの色の使い方を調べた.
- 有効な音声CAPTCHA -削除法と混合法の比較-
- 東大の西本さんとの共同研究.ソフトが破りにくく人間には聞きやすい音声CAPTCHAの手法として削除法を提案し,被験者実験でその有効性を調べた.
2010年度の卒論
Resarchmapの「2010年度卒業論文の題目と要旨」参照.
渡辺ゼミのこれまでの活動
以下の活動のいくつかは,「渡辺研究室の最新情報」にも書いてあります.
2004年度3年生が渡辺ゼミの第一期生で,2005年度末に初めての卒業生を送り出しました.
2004年度3年次演習
2004年度の3年次演習は,「コミュニケーション学科サイト リニューアルプロジェクト」に取り組みました.これは,ユーザビリティ・保守運用・アクセシビリティに優れたウェブサイトを,設計・構築しようというプロジェクトです.ウェブサイトのデザインの検討(サイトの目的の設定,ターゲットとするユーザのニーズの調査,どのようなコンテンツが必要かの検討,ターゲットユーザにどのような利用体験を与えるのかの検討,サイトのブランドやデザインの検討)からはじめて,サイト構造の決定(コンテンツをどう分類しサイト内に配置するか,どのようなナビゲーション方法を提供するか),パワーポイントによるプロトタイプ作成,コンテンツ管理システムPloneによるウェブサイト実装,までを行いました.この成果が現在のコミュニケーション学科サイトです.
夏休みには,お台場のトヨタユニバーサルデザインショーケースを見学したり,伊豆修善寺で2泊3日のゼミ合宿をしたりしました.合宿では,「誰のためのデザイン?」と「認知的インターフェース」を勉強しました.(温泉やサイクルスポーツセンターにも遊びに行ったよ.)また後期は,ウェブサイト構築やコンサルティングを専門としている会社の方を招いてお話を聞きました.
12月には科研費合宿を箱根の温泉で行い,3年生有志も参加しました.3月にロスアンゼルスで開催された「Technology and Persons with Disabilities」国際会議(通称CSUN)にも,3年生と当時2年生だった学生の有志が参加しました.
2005年度4年次演習
夏に3,4年次合同のゼミ合宿を伊豆で行いました.7月にはSFCのアクセス研究会で有志5名が研究発表を行いました.8月に新潟で開催された科研費合宿にも,有志が参加しました.関根先生の出版パーティに3,4年生の一部が参加しました.
2005年度の卒業研究は,渡辺が研究代表者を務める科研費特定領域「視覚障害者の聴覚認知の解明と音声対話への利用」と関連するテーマが3件あります.また,渡辺が力を入れている分野であるウェブアクセシビリティに関するテーマが2件ありました.
これらの卒業研究を専門の学会で発表する学生も続出しました.
2006年度4年次演習
夏にバスをチャーターして,3,4年次合同のゼミ合宿を河口湖で行いました.ブルーベリー狩りやスイカ割りや,楽しさ一杯のゼミ合宿でした.7月にはSFCのアクセス研究会で有志7名が研究発表を行いました.8月に水上奥利根温泉で開催した科研費Kiki班の合宿にも,有志が参加しました.
また,12月の福祉情報工学研究会で,下記の学生が発表しました.
- 荒川さん:「画像を音声でわかりやすく説明する方法」
- 小野さん:「早口合成音声に対する高齢者の慣れ」
- 下永さんと藤原さん:「対話分析に基づく視覚障害者用音声対話システム」
- 志村さん:「Web構造化のユーザビリティとアクセシビリティ効果」
Q&A
- コンピュータが得意でないと渡辺ゼミでやっていけないのか?
- そういうことはありません.(今は得意でなくても,渡辺ゼミにいる間に得意になると思います.)ただし,コンピュータが好きなほうが卒論の選択肢が広くなるし,より深く卒論のテーマを追えると思います.つまり,コンピュータが得意なことは必要条件ではありませんが,得意なことがプラスになります.実際,今のゼミ生の中には,情報系の授業を取っていなかった学生も多数いますが,全く遜色ありません.
なお,卒論では,コンピュータや音声合成の技術的なことは私や私の共同研究者が担当し,学生の皆さんには,その技術をどう使うかや,使い勝手や有効性の評価をしてもらうという役割分担ができると思います.皆さんは,「技術をどう使うか」という観点で卒論に取り組んでくださればよいと思います.
「2004年度3年次ゼミ生の声」を読めば,コンピュータが得意でなくても大丈夫なことがわかると思います.
- 渡辺ゼミは難しいことをやっていそうなので,私には無理ではないか.
- 4年生があちこちで研究発表しているのを見ると,なんて難しいことをやっているのだろうと思うかも知れません.でも彼女たちも2年前までは皆さん同様に難しいことは何も知らない学生でした.やる気を持って卒論に取り組んだ結果,ここまで来たのです.皆さんも,是非,後に続いてください.
- コンピュータと関係がない卒論を書いている人はいるか?
卒論のテーマを見ると,どのテーマもコンピュータの知識なしには取り組めないように見えますが,たとえば2005年度の卒論の場合,実際は以下のようになっています.
- 「高等教育におけるeラーニングの現状と今後の展開」は,テーマだけ見るとコンピュータに関連しているように見えますが,実際はeラーニングの授業を受けている学生への質問紙調査が主体です.
- 「視覚障害者用早口合成音声の研究」の早口音声合成の技術は,共同研究者の東大の先生が開発しているものです.その音声合成を用いて被験者実験をした研究です.
- 「コンピュータと視覚障害者の音声対話に向けて」も,視覚障害者と対面朗読者の対話の分析ですから,コンピュータが得意でなくても取り組める研究です.
- 「コミュニケーション学科ウェブサイトのユーザビリティ」も,新旧学科サイトのユーザビリティテストをおこなったものですから,コンピュータの得意不得意は関係ありません.
- 「音声によるわかりやすい情報伝達」は,アナウンサ志望の学生が,ラジオとテレビの実況中継を分析した研究で,アナウンサという学生の興味と直接結びついているのがわかると思います,
- 「日本におけるウェブ・ユーザエージェントの問題点」と「ウェブサイト作成ツールのアクセシビリティ機能」は,卒論を書くために,4年生になる春休みから,かなりウェブの勉強をしました.後者の卒論を書いた学生は,もともと情報系の授業をたくさん取っていて熱心に勉強していた学生でしたので,卒論でさらに多くの知識と技術を蓄積し,大学院にも進学します.
このように,コンピュータとか音声合成とかウェブとかいっても,技術開発が卒論のテーマになるわけではなく,その技術をどう使うかといった評価が卒論のテーマになっていることがわかると思います.そういう意味では,渡辺ゼミもコミュニケーション学科の他のゼミと同じです.しかし,技術に興味があってよく知っている方が,卒論を書くときに便利だと思います.また,技術に真正面から取り組む卒論も歓迎します.つまり,コンピュータが得意なことは必要条件ではないが,得意なことがプラスになるわけです.
- 広告など他の分野をやりたくてコミュニケーション学科に入ったけど渡辺ゼミにも興味がある.
- 上記の卒論テーマを見ればわかるように,広告を題材にして,しかもウェブや音声といった技術を使った卒論のテーマを考えることが可能です.ウェブの広告のユーザビリティやアクセシビリティを考えるところから出発して,「デザイン主体の広告」を音声でもわかりやすく伝えるのはどういう工夫が必要かと言うことを検討すれば,立派な卒論になると思います.
- 渡辺ゼミではウェブと音声以外のテーマはできないのか?
- できます.でも私はウェブと音声対話の研究をしているので,この関係の卒論の方が指導しやすいし,良い卒論ができると思います.
- XXXをしたい.
- えーと,今考えているテーマが卒論のテーマになる可能性は低いと思います.皆さんは未だ背景知識が乏しいですから,3年生でいろいろ経験する間に,卒論のテーマはかなり変わるだろうと思います.
- いつごろ卒論のテーマを決めるのか?
- 渡辺ゼミでは,3年生の間は卒論についてあまり言いません.3年生の間は,渡辺ゼミに関連することをいろいろ経験して欲しいと思っています.4年生になってから,卒論のテーマを考え始めます.
- 小田ゼミとの違いがよくわからない.
- 小田先生と私の研究分野は,コミュニケーション学科の中では近いですね.それに二人とも,コンピュータが得意です.しかし,小田先生はロービジョン心理学の専門家であり,福祉や心理学をベースとされていらっしゃいますし,この分野のキャリアも長いです.一方私は,元々物理屋でしたからコンピュータやネットワークに詳しいです.そして,このような技術をどう使うかという点に興味を持っています.そういう観点から心理学にも興味を持っているわけです.二人とも視覚障害に関する研究をしていますが,このようにアプローチの仕方はかなり違います.私としては,両ゼミともに盛り上がることが,世のため人のためになると思っています.私と小田先生は交流も深いですから,どちらにするか余り悩んでも仕方がないかな,と思いますよ.(でも,なべゼミに来てください!)
2004年度3年次ゼミ生の声
- Aさん:
- 「現在の3年次演習では、学科サイトのリニューアルプロジェクトを鋭意推進中です。しかしながらコンピュータのことばかりやっているわけではなく,むしろ、コンピュータが好きな人の方が少数派かも…。もちろん好きな人もいるけれど。普通のコミュニケーション学科の卒論とはちょっと違ったものを書きたい人は、渡辺ゼミに向いているのじゃないでしょうか。」
- Bさん:
- 「現在は、コミュニケーション学科のWebサイトを再構築していますが、実践的な形で学んでいくので、今までとは違った視点で、空間やもの、またWebサイトを見ることができると思います。ここで学ぶことは何かをデザインする時に、これから必ず必要な知識だと思います。ウェブの知識がなくても、ゼミを通して自然と必要最低限の知識を得られるので、興味を持ったら是非渡辺ゼミに参加してみてください。」
- Cさん:
「現在3年次ゼミでは、学科サイトをリニューアルするプロジェクトを行っています。
文献や資料を用いて議論していくことが多い他のゼミと比較すると、我々のゼミでは一つのものを作りあげる実践的研究も多く、文系・理系の中間といった雰囲気を感じています。
このようなプロジェクトをやっていると言うと、ついパソコン関係のゼミと思われがちですが、ウェブに限らずユニバーサルデザインなどにも触れており、「誰にでも使いやすいデザインとは?」ということが、このゼミの中心となっている研究課題です。
これらのことに興味があるという人は是非! 実践的研究で得たこと(技術)は、この先いろいろな場面で役に立つはずです。」
渡辺の略歴・研究業績
1998年までは原子核・素粒子実験の研究に従事.岐阜県神岡鉱山の地下実験室で太陽を拝めない日々を送る. 1999年秋から,日本の全盲の視覚障害者のための日英2ヶ国語音声化システムBilingual Emacspeak Platformの開発に取り組んだ.この開発プロジェクトは2001年度IPA未踏ソフトウェア創造事業に採択され,ジャパニーズ英語とネイティブ英語の2種類の発音を自在に使い分けられるバイリンガルシステムが完成した.2003年後半からはUniversalなWeb利用に研究の主眼を移した.Webアクセシビリティを学問としてとらえ,実証研究をベースに,技術から人・社会に至るまでの幅広い階層で,Webアクセシビリティ向上に結びつく研究・教育・社会活動に取り組んでいる.
研究活動の概要は,Researchmapの研究者紹介「渡辺隆行」にまとめてあります.
参考文献
渡辺ゼミに関連する参考文献は,「人間科学概論IIB」の「参考文献」を参照してください.